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1,2,3,7,8,9, 「うたう命、うねる心」グループ展、スパイラルガーデン /株式会社ワコールアートセンター、Year 2018
4,5,6, 個展 「鯨の目 | L'œil de la baleine 」 個展、アクアリウム・パリ、フランス. Year 2018-19
10,11,12, 「絵と言葉のまじわりが物語のはじまり」太田市美術館・図書館(群馬)Year 2017
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素材:動物の革にアクリル、綿布、糸、刺繍、オイルクレヨン、スプレーカラー、海によって運ばれた粟島の浜辺で拾ったプラスチック、漁師の網、孔雀の羽、銅の留め金具、クッション、綿クッション
*作品に使用された革は、傷がつき廃材となったもの、売れ残ったもの、ハギレなどを繋ぎ合わせて、新しい生き物として作られています。
Special Thank you
粟島が〜る&ぼ〜い、ワルリー三兄弟、香川県三豊市、粟島や海ほたるを始めとしたボランティアの皆さま
海洋科学探査船TARA号
大小島が乗船し、「鯨の目」シリーズ制作の発端となったタラ号は、全長36mの科学探査船である。母体はフランスのファッションデザイナーであるアニエス・ベーとその息子のエチエンヌ・ブルゴワが立ち上げた非営利団体「Tara Océan(タラオセアン)財団」で、2003年より海洋環境調査と保護活動を行っている。
発足以来、タラ号は11の探査プロジェクトを施行し、世界60カ国、45万km以上を航海。およそ9割が新種であったという3万5千に及ぶプランクトンのサンプル採取を達成したタラ号海洋プロジェクト(2009年 – 2013年)、マイクロプラスチックの海洋への影響を調査したタラ号地中海プロジェクト(2014年)、気候変動に直面する珊瑚礁の生物多様性とその進化の調査を実施するタラ号太平洋プロジェクト(2016年– 2018年)など、その活動は多岐にわたり、多くの科学的発見の成果は意義深い。
この太平洋プロジェクトに世界公募によって選出されたのが大小島である。
大小島は、2017年1月30日から3月19日まで、船員、船長、料理人、ジャーナリスト、科学者といったスペシャリスト達十数名とともにグアムから横浜間を航海。アーティストとしての乗船であったが、珊瑚のサンプル採取のための科学調査に同行したり、掃除や帆あげ、夜の見張りにも参加したという。
大小島曰く「大きな家族」のようなタラ号の中、様々な専門家と豊かな会話を重ねながら、2カ月弱、寝食をともに過ごした。
そうした船での体験による学びは、海の生物が作り出す生命の循環と共生の姿をより具体的に大小島に育ませることになる。そしてそのイメージは、《海、生命のスープ 》《珊瑚の心臓》《鯨の遺伝子》などの11点に及ぶドローイングと物語として実を結ぶとともに、「鯨の目」シリーズ制作の豊穣な土台となった。
小金沢 智
(初出:大小島真木『鯨の目』museum shop T、p.70)
白い鯨の亡骸
2017年2月6日、私は鯨と会った。
でも、生きていなかった。
たくさんの鳥達がその身体を食べにきていた。
鮫も集まっていた。
皮は溶けていて、脂肪の白色が海の上で漂っていた。
波のリズムに身を委ねて。
海、生命のスープ。
どれほどの命がこの海の中に溶け込んでいるのだろう。
私達の生きる場所を支えている、生と死の礎。
地球が一つの大きな生きものに見える。
L’œil de la baleine
6 février 2017, je rencontre une baleine.
Cependant, elle n'est pas en vie, beaucoup d'oiseaux sont venus manger son corps. Les requins s’y sont rassemblés.
La peau fondait, un banc de graisse dérivait sur la mer.
Se laisser diriger au gré du rythme des vagues...
La Mer, soupe de vies.
Combien de vies se créer à l'intérieur de celle-ci?
Le lieu où nous vivons est la pierre angulaire de notre vie.
La Terre semble être une grande créature.
Text:海と陸が交わる
海があり、雲を作り出し、雨を降らせ、山に染み込んだ水は土にろ過されて、生きものの飲み水となり、体内に入っていき、山はまた川を作り、川の水は海へと注がれていく。
この大きな循環は、私達の身体を動かしている血液の働きのようでもあり、シナプスの交感神経のようでもある。あるいは、それは遥か天空の銀河において地球を一つの細胞としながら行われている循環のようでもある。
私は長く森について描いてきたが、この鯨の目シリーズを通して、あらためて海に触れ、海と陸の交わりを知った。地球という星と、その星を取り巻く循環の全体像が、ようやく見えてきたような気がする。
偶然見かけた鯨の亡骸が、私の意識に入り込み、私を精神の遥かなる冒険に旅立たせた。
それは八百万の神々や、魑魅魍魎と呼ばれる自然界の精霊たちが、私という身体を媒介にして、動き回っているかのようだった。
私もまた彼らによる憑依を楽しみ、彼らの視点を学び、たくさんの人を巻き込みながら、制作に没頭してきた。
鯨の目シリーズ、極大と極小を併せ持つ、彼らの身体と魂に、敬意を込めて。
Video archive
鯨の目
Directed, Filmed and Edited | Shin Ashikaga
Music | Curtis Tamm
Other Works
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