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アニマの現象

2016, Exhibition

インスタレーション
壁画、絵画、映像
映像: 03min30

"惑星の庭" Group exhibition in MA2Gallery

Exhibition view

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    Text:アニマの現象

    インドネシアのスラウェシ島には古くからトラジャ族と呼ばれる人々が暮らしている。

    私はそこでヨハネスと名乗るトラジャ族の青年と出会った。


    彼は私にある話を聞かせてくれた。

    それは私たちの命、生と死にまつわる話だった。

    


    ヨハネスによれば、アルクトドロ教と呼ばれている彼らの伝統的な信仰においては、生と死とは決して対立したものではない。

    それらはひとつの事象の異なる相の呼び名に過ぎない。それらはつねに円環し、また移ろい続けている。


    たとえば、彼らの暮らす集落には「Baby tree」と呼ばれる木のお墓がある。

    乳歯が生える前に亡くなった赤ちゃんを、木の幹に掘った穴に入れるのだ。

    30年、50年、100年と、時とともに木は成長し、どんどん高くなっていく。

    やがて朽ち果てると、木は大地へと還り、その大地の上でまた新たな命が育まれていく。



    だから、ヨハネスはお祈りをするのだという。

    彼らの祖先に。

    スピリッツに。

    「僕はそこから来たのだから」

    そうヨハネスは言う。


    ヨハネスの祖母はアルクトドロだった。

    「でも僕はクリスチャンだよ。生まれた時からそうなんだ」

    ヨハネスは苦笑する。

    「アルクトドロは直にいなくなる」



    歩く。

    
歩く。

    歩く。

    
獣を恐れ、夜を恐れ、死を恐れる。

    
歩く。



    歩く。



    歩く。

    
大地の果てを通り過ぎる。

    
滝の水辺を通り過ぎる。

    
幾億年の星を通り過ぎる。

    
"僕らは何を、恐れているんだ"

    
夜明けがやってくる。

    
地下の光が降り注ぐ地まで。





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