Exhibition | 1.1.2023
やんばるアートフェスティバル 2022-2023
2023年1月14日~ 4月9日(土、日、祝のみ開館)
■ やんばるアートフェスティバル・大小島真木作品プロローグ
二つの海 ――海を孕む、海に孕まれる
この地に生まれる前、私たちは誰もが胞衣と呼ばれる膜に包まれて、小さな核として羊水のなかを漂っていました。
哺乳類の羊水は薄い塩水だそうです。これは海中で脊椎動物が誕生したときの海、つまり古代の海の塩分濃度と同じなのだと解剖学者の三木成夫さんは話しています。
私は海のことをずっと生命のスープだと感じてきたのですが、海とはまた、この地球という惑星の羊水のことでもあるのかもしれません。
あるいはこの惑星自体が、私たち生命を孕んだ、巨大な胞衣でもあるのかもしれません。
私たちは母親のお腹の中に蓄えられた古代の海水の中で、その豊富な栄養を全身に浴びながら分裂を繰り返します。
胎児になる前の胎芽は、最初は魚類のようであり、ついで両生類のようになり、さらに爬虫類のようになり、やがて哺乳類の姿へとメタモルフォーゼしていきます。
そして十月十日の生命進化の旅路の末に、私たちは産道を潜りぬけ、地上へと降り立つのです。
哲学者のエマヌエーレ・コッチャさんは、「植物は海が存在しない場所に海をしつらえたのである。
世界を巨大な大気の海に変え、あらゆる生物に海洋での習性を伝えていったのだ」と書いています。
そう、陸地もまた、植物たちがその息吹によって創りだしたオゾンという羊膜に包まれた、ひとつの海なのです。
私たちの外にあって、私たちを孕んでいる、海。
私たちの内にあって、私たちに孕まれている、海。
海のほとりの小学校で、私たちを生かしている二つの海を想います。
■ 作品展示場所
- 大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティリティーセンター)
- [開館時間] 11:00-17:00 / 金・土・日・祝 のみ開館
■ やんばるアートフェスティバル開催概要
- 主催:やんばるアートフェスティバル実行委員会
- 共催:大宜味村 島ぜんぶでおーきな祭
- 開催期間:2023年1月14日(土) ~ 2023年4月9日(日)
- 入場:無料